インテリジェントPDU(電源タップ)とは?確認したいスペックや選定のポイント

インテリジェントPDU(電源タップ)とは?確認したいスペックや選定のポイント

大規模なデータセンターが増えてきた現在、高機能なインテリジェントPDUの需要が高まっています。インテリジェントPDUの導入には、課題を解決できるような製品選びが欠かせません。インテリジェントPDUの特徴や選定のポイントを解説します。

インテリジェントPDUとは

データセンタービジネスの活発化が進む現代では、施設内のIT機器を管理する機器にも、さまざまな種類が登場するようになりました。
その一つが、サーバーをはじめとした機器に電源を供給するPDU(Power Distribution Unit/電源分配ユニット)です。中でも導入するデータセンターが増えている「インテリジェントPDU」とは、どのような製品なのでしょうか?

インテリジェントPDUを選ぶメリットとともに、特徴や魅力を紹介します。

  高機能なPDUの総称

PDUの役割は、ラックに収納されたIT機器に電源を供給することです。電源供給の他に機能を持たないタイプのPDUは「ベーシックPDU」と呼ばれます。

対してインテリジェントPDUは、電源を供給する以外にも付加機能を持ったPDUの総称です。備わっている機能の種類によって、インテリジェントPDUは以下の4タイプに分類されます。

・電力計測機能付きPDU : PDUに接続された機器の電流・電圧などを計測できる

・LANポート機能付きPDU:LANポート機能付きPDU計測した電力情報をネットワーク経由で通信できる

・アウトレット計測機能付きPDU:アウトレット(コンセント)ごとの電流・電圧などを計測できる

・電源ON/OFF機能付きPDU:電力計測機能付きPDUの機能に加え、アウトレットの電源ON/OFFを個別(または特定の機器をグループ化して)遠隔で制御できる

中にはアウトレット計測機能と電源ON/OFF機能、どちらも備えたタイプもあります。データセンターが抱える課題によって必要な機能は変わってくるため、自社の状況に合わせた選定が欠かせません。

  インテリジェントPDUを選ぶメリット

高機能なインテリジェントPDUは、当然ながらベーシックPDUに比べて高価です。コストを抑えるには、ベーシックPDUを選ぶのが最適解のように思われるかもしれません。しかし、機能性の高いPDUには長期的にコストを抑える効果が期待できます。

以下がインテリジェントPDUの導入で実現することの例です。

・無駄な供給電力を把握する

・計測したデータを遠隔地からチェックする

・使われていない機器への電源供給を止めて省電力化を図る

・許可していない機器が電源に接続されるのを防ぐ

特に多くのサーバーを置く大規模なデータセンターでは、消費電力が膨大です。電力計測機能付きPDUや電源ON/OFF機能付きPDUは、現状を把握して無駄を省くのに役立ちます。

また、データセンターには各種ITサービスのデータを守るセキュリティレベルが求められます。あらかじめ定めた機器だけが電源に接続できる状態を作れば、不正アクセスのリスクも低減できます。

長い目で見て運用コストを最適化するには、現状の無駄やリスクをできるだけ減らせるPDUを選ぶのが得策といえるでしょう。

  国の重要政策に「データセンター脱炭素」も

大規模なデータセンターが次々に作られている昨今、消費電力や排出する温室効果ガスの多さが、環境に及ぼす影響も懸念されるようになりました。日本政府は重要政策の中で、データセンターの省エネ化を挙げています。

2030年までに新設されるデータセンターについて掲げられている目標は、30%の省エネ化です。これからのデータセンターでは、省電力に役立つインテリジェントPDUの役割がさらに大きくなっていくと考えられるでしょう。

環境に配慮している姿勢は、企業のブランディングという面でも価値があります。省エネ・脱炭素に取り組んでいるというアピールができれば、同じく環境問題へ積極的に取り組んでいる企業の誘致にもつながります。

参考:成長戦略実行計画案 令和3年6月18日 P9「⑧半導体・情報通信産業」|内閣府

インテリジェントPDUの選定ポイント

インテリジェントPDUを選ぶときは、自社に必要な付加機能の他にスペックの確認も必要です。チェックしたい要素をしっかり押さえて、適切な製品を選びましょう。

電流・電圧の定格

PDUを選ぶときはまず、電流(A)と電圧(V)をチェックしましょう。通常、データセンターサイドの条件や接続機材に合わせて決定します。

アウトレットの型式

アウトレットレセプタクル(コンセントの穴)の型式は、接続する機器の電力仕様に合わせて選びます。以下が主なアウトレットの型式と、それぞれのスペックです。

主なアウトレットレセプタクル型式(形状)定格電圧定格電流ピン数極配置
NEMA5-20R125V20A接地形2PNEMA5-20R
IEC C13125/250V10〜15A接地形2PIEC C13
IEC C19125/250V16〜20A接地形2P
C13/C19コンビネーション 125/250V10~20A接地形2P

必要なアウトレット数に応じてPDU筐体の形状や長さが変わってくるため、アウトレット数の確認も欠かせません。

PDUの形状

PDUの形状として主流なのは、ラック内部に縦向きに取り付ける長尺タイプ「0U (ゼロ・ユー)バーティカル」と、19インチラックに搭載できる「1U(ワン・ユー)」「2U(ツー・ユー)ホリゾンタル」と呼ばれるタイプです。

長尺の0Uバーティカルタイプの方が、基本的にアウトレット数は多くなります。必要なアウトレット数と設置スペースのどちらも考慮して、PDUの形状を選びましょう。

インレットプラグのスペック

インレットプラグも、アウトレットと同じく型式ごとにスペックが違います。

主なインレットプラグ型式(形状)定格電圧定格電流ピン数極配置
NEMA L22-30P三相277/480V30A接地型4PNEMA L22-30P
NEMA L6-30P250V30A接地形2PNEMA L6-30P
NEMA L15-30P250V30A接地形3PNEMA L15-30P
NEMA L6-20P250V20A接地形2PNEMA L6-20P
NEMA L5-20P125V20A接地形2PNEMA L5-20P
IEC C14125/250V10〜15A接地形2PIEC C14
IEC C20125/250V16~20A接地形2P

インレットプラグの型式は、施設側の電力用件や接続する機器の電力仕様に合わせて選びましょう。

安全性やサポート面の選定基準

インテリジェントPDUを選ぶに当たっては、「安心して使えるかどうか」も見逃せません。安全性・サポート体制の2点について、チェックしておきたい理由を紹介します。

PSEマークの有無

一部対象外のものもありますが、基本的にPDUはPSEマークがないと販売できません。PSEは「Product Safety Electrical Appliance and Materials(電気用品安全法)」を略した言葉で、消費者の命や体に影響を与える可能性が高い製品にマークの表示が義務づけられています。

PDUをはじめとした電源タップには、ひし形で囲まれた方のマークを表示しなければなりません。

また、海外からPDUを輸入する事業者は、所定の届け出や日本の経済産業省令で定められら技術基準に適合しているかどうかのチェックなど、多くの要件をクリアして初めて販売する製品にPSEマークを表示できます。

PSEマークがあるPDUは、日本の法律にのっとって正しく販売されている製品です。選定の際は最低条件としてチェックしておきましょう。

画像引用元:電気用品安全法(METI/経済産業省関東経済産業局)

アフターサポートの体制

PDUを購入した後に問題が起こらないのが理想とはいえ、トラブルを100%予防することは実質的に不可能です。製造元が販売しているなら製造元の、代理店が販売している海外製品でなら代理店のサポート体制も確認しておきましょう。

PDUは電源を供給する機器であり、トラブルが発生すると接続している機器の電力状態に悪影響を与えたり、ダウンタイムが発生したりする可能性もあります。万が一問題が起こったとき、迅速な対応を望める販売元を選ぶと安心です。

インテリジェントPDUの相談は明京電機に

明京電機は、データセンターや各産業・商業向けにデジタルインフラストラクチャー技術を提供するVertiv(バーティブ)社の一次代理店です。

Vertiv社のPDUをはじめ、さまざまな種類の製品をを取り扱っています。明京のサポート体制により、状況に合わせたソリューションの提供・サポートも可能です。

豊富なインテリジェントPDUのラインナップ

明京電機が扱っているVertiv/Geist PDUは、ベーシックからインテリジェントPDUまでバリエーションが豊富です。例えば、Vertiv製品には以下のような種類があります。

・UPDU:PDU本体からインレットケーブルが取り外せるタイプのPDU

・C13/C19コンビネーションアウトレットPDU:C13/C19のどちらもプラグも接続できるアウトレットを備えたPDU

・U-Lockレセプタクル付きアウトレット:特許取得済みの「U-Lock技術」によりプラグを確実に固定できるPDU

インテリジェントPDUといっても、データセンターの課題によって必要な機能の詳細は変わってくるはずです。明京電機は長年にわたって電源制御装置を扱ってきた経験から、状況に合わせた選定をサポートします。

カスタムPDUの相談や導入後のサポートも

Vertiv製品に豊富な種類のPDUがそろっているとはいえ、既存のモデルでは自社の課題にぴったりはまはまらない場合もあるでしょう。そんなときは明京電機にご相談ください。VertivではカスタムPDUも扱っているため、ニーズに合った最適なPDUを提案できます。

明京電機は、自社製品である遠隔電源制御装置「リブーター」を開発・製造・販売してきました。自社製品で培った技術力を基に、Vertiv/Geist社のPDUについても購入後まで万全のサポート体制を整えています。

PDUに関して疑問や相談があれば、問い合わせフォームやお電話にて、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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